LINE、神奈川県警察と共同調査した「ネット利用に起因した非行・被害児童等のネット利用実態把握を目的とした調査」の報告書を公開

神奈川県教育委員会との共同調査結果等と比較し、傾向を分析
非行・被害児童等は学校や家庭が安心できる場所ではないと考える傾向

 

※本取り組みは現在、一般財団法人LINEみらい財団に移管しております。

LINE株式会社は、神奈川県警察と共同で「ネット利用に起因した非行・被害児童等*1のネット利用実態把握を目的とした調査」を実施し、その結果をまとめた報告書を公開しました。
*1:ネット利用に起因して主に性的な非行・被害、サイバー補導等に至った未成年を非行・被害児童等とする

 

<ネット利用に起因した非行・被害児童等のネット利用実態把握を目的とした調査 平成30年度報告書>

■報告書ダウンロード(全52ページ)
LINEでは、情報モラル・情報リテラシーの啓発活動の強化やネットトラブル防止を目的に、自治体や有識者と協力しながら調査・研究を行っており、2018年5月21日には、神奈川県警察および神奈川県教育委員会と「インターネットに起因した非行・被害等の防止対策に関する協定」を締結しました*2。2019年3月19日には、神奈川県教育委員会と共同で約1.7万人の小中高生を対象に青少年のネット利用実態を調査し報告書を公開しております*。そしてこのたび、非行・被害児童等のネットの利用実態や意識、生活状況等について把握するため、神奈川県警察と共同で新たな調査を実施しました。その分析結果の一つとして、非行・被害児童等は「学校や家庭が安心できる場所ではない」と考える傾向にあることがわかりました。
*2:詳細はプレスリリースをご参照ください。
*3:「青少年のネット利用実態把握を目的とした調査」(平成30年度)

 

本調査はフィルタリング等の安全に対する機能的側面、家庭内ルールや法的意識といった規範的側面、情報モラル研修受講経験といった教育的側面など複数の視点からのアプローチを試みています。回答数(46名)からすると統計的知見を得ることは難しいものの、このたび得られた回答は現時点において貴重なデータであるため、神奈川調査*およびRISTEX調査*で取得した高校生のデータと比較を行い、傾向を分析して報告書としてまとめました。
*4:「青少年のネット利用実態把握を目的とした調査」(平成30年度)のうち高校生の回答
*5:中央大学・多摩大学情報社会学研究所が社会技術研究開発センター(RISTEX)のプロジェクトで実施した調査

 

<調査概要>
調査時期   -     平成30年9月~平成31年1月
調査対象   -     神奈川県警察にてネット利用に起因して補導等をした未成年(18才以下)
回答数    -     46名

 

<調査サマリー>
本調査の結果、「ネット利用に起因した非行・被害児童等」について以下のような傾向がわかりました。

■学校や家庭への安心度が低い傾向
当該の児童等は、学校への安心度・担任への信頼度・家庭への安心度が低く、学校内に友達が少ないがネット経由で知り合った友達が多い傾向にあることがわかりました。学校や家庭での居場所が無いことが、トラブルに発展する遠因になっている可能性があります。

■フィルタリングの設置割合が少なく、知らない人からのメッセージ受信頻度が高い傾向
当該の児童等は、フィルタリングの設置割合が少なく、知らない人からのメッセージを受信する頻度が高い傾向にあることがわかりました。安全にネットを利用する環境整備が不足している可能性があります。

■法的理解度やネット利用への安全意識が低く、加害経験頻度が高い傾向
当該の児童等は、情報モラル教育の機会や気づきがあった割合は同じでしたが、法的理解度やネット利用への安全意識が低く、加害経験の頻度が高い傾向にあることがわかりました。教育の機会で十分な知識やモラルを身に付けられていない可能性があります。

これらの調査の結果を踏まえ、今後も神奈川県警察および神奈川県教育委員会とともに、児童・生徒のネット利用実態の推移やリスクの変化を分析・把握してまいります。また、サイバー犯罪教室や学校現場で活用できる情報モラル教育教材の開発等、児童・生徒の適切なネット利用および非行・被害等の防止に資する施策を展開する予定です。

 

LINEは、青少年の皆さまに安心・安全にインターネットおよびスマートフォンをご利用いただけるよう、引き続き情報モラル・情報リテラシーの啓発活動に力を入れてまいります。