「SNS東京ノート」効果測定およびネット利用実態把握調査結果報告(平成30年度)

※本取り組みは現在、一般財団法人LINEみらい財団に移管しております。

LINE株式会社では、2016年3月30日に、児童・生徒の情報リテラシー・情報モラルの向上およびコミュニケーショントラブルを防止することなどを目的として、東京都教育委員会と「SNS東京ルール」共同研究プロジェクトの実施にかかる協定を締結いたしました。そして、2017年3月23日に情報モラル教育教材「SNS東京ノート」を共同開発し、毎年更新を重ねながら都内公立学校の全児童・生徒向けに配布しています*1。
*1:詳細はプレスリリースをご参照ください

情報モラル・情報リテラシーの啓発活動の更なる強化およびネットトラブル防止のため、東京都教育委員会の協力のもと、「SNS東京ノート」効果測定およびネット利用実態把握調査を実施いたしました。本調査は第3回*2として2018年11月~12月に実施され、本報告書はその結果を取りまとめたものです。
*2:第1回、第2回の調査報告書はこちら

■ケータイ・スマホ保有の低年齢化が顕著に進行、小学校低学年 からの情報モラル教育が必要
ネット利用実態面では、例えば小学3-4年生のケータイ・スマホ保有率が42%(2017年)から61%(2018年)と急増するなど、ケータイ・スマホ保有の低年齢化が年々進んでいることがわかりました。このことから、小学3-4年生から実践的な情報モラル教育が必要であると考えられます。また、ケータイ・スマホの利用時間は中学生になると「2時間を超える割合」が大きく増加し、写真や動画の公開経験も中学1年生から増え始め、高校生になると約60%が体験しているということもわかりました。このことから、中学生段階でのケータイ・スマホの使いすぎや、不適切な写真や動画の公開などのトラブルを予防するために、引き続き小学校からの段階的な情報モラル教育が重要であることが示唆されました。

■「SNS東京ノート」を使った情報モラル教育実施率は大幅に上昇、回数を重ねるほど子どもたちの「新しい気づき」も生まれる
「SNS東京ノート」の活用面において、前年度調査では実施率の低さが課題となりました。今回の調査では、教員の実施率が小学校では約70%(第1回調査 約30%)、中学校では約60%(第1回調査 6%)となり、第1回調査と比べ大幅に上昇していることがわかりました。 本教材の単元別の実施率も明らかになり、「写真の公開」に関しての実施が多いことから、不適切な写真や動画の公開などのトラブルが背景にあること が推測できます。さらに、授業を3回以上実施した場合の子どもたちの「新しい気づき」の割合が高くなり、「気づきなし層」と比べて「気づきあり層」の方が意識変容しやすいという結果になりました。このことから、本教材を活用した授業の回数を重ねるほど「新しい気づき」が生まれ、気づきを生むことで意識を変えることができるということがわかりました 。

この他、本調査では、単元別の実施状況も明らかになりました。また知識・意識変容だけでなく態度変容をどう促すか、高校での実施率をどう高めていくかが課題として残りました。これらを来年度に配布するSNS東京ノートの改訂にも活かして参ります。

 

■調査概要

調査目的       •小学校から高校までの児童・生徒の、インターネットの利用実態を把握する
           •「SNS東京ノート」を活用した授業実施の効果を把握する
調査手法       郵送調査
調査対象者      東京都の平成30年度情報モラル推進校等16校の教員/児童・生徒
最終有効回答数    教員:358s、/児童・生徒:6,796s
質問数        教員:11問/小1-2:13問/小3-4:15問/小5-6:16問/中学:16問/高校:16問
主な質問項目(生徒) •ケータイ/スマホ保有状況
           •平日のケータイ/スマホ利用時間
           •平日のゲーム機利用時間
           •家庭におけるネット/ゲーム機利用に関するルールの有無
           •家庭におけるネット/ゲーム機利用に関するルールの遵守状況
           •2018年4月以降、ネット/ゲーム機を利用して感じたり経験したこと
           •2018年4月以降、知り合いからネット上でされたこと
           •SNS東京ノートを使った授業の受講有無
           •SNS東京ノートの学習した内容
           •SNS東京ノートについて家族と話をしたか
           •SNS東京ノートを使った学習に対する感想
           •SNS東京ノートを使った話し合いをした後の態度
調査日時       2018年11月~12月
過去実施状況     第1回 2017年7月、第2回 2017年11月~12月
調査主体       LINE株式会社

 

■報告書データ
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