当社のガバナンス体制およびリスク管理体制の強化について

2021.10.18 ALL

LINE株式会社(以下、当社)は、今後の当社におけるガバナンス体制およびリスク管理体制の強化についての方針をお知らせいたします。本件は、Zホールディングスが設置した「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会(以下、特別委員会)」より本日発表された最終報告書を受けたものとなります。

 

■当社の課題認識と今後の対応方針について

当社は2021年3月23日以降、当社におけるデータの取り扱いについて、特別委員会において外部有識者によるセキュリティおよびガバナンスの観点からの検証・評価を受けてまいりました。

これまでの特別委員会での議論や当社による検討を経て、当社としては、データの安全な管理体制の構築およびステークホルダーへの説明責任の強化が、当社のデータガバナンスにおける主な課題であると捉えております。そして、国内外で急速に事業や会社が成長を続ける中、その規模に見合ったガバナンス体制・リスク管理体制の整備が追いついていなかった点が、上記課題の根本的な要因であると認識しております。

当社は、これらの課題に対し、これまでにいただいた各監督官庁からの指導や、特別委員会での検証・評価、そしてこのたびの最終報告書の提言を踏まえ、今後以下の改善・強化策を実施してまいります。

 

 

1. データの安全な管理体制の強化

 

(1) 全社的なリスク管理体制

リスク管理部署の独立・強化

LINEグループのリスクを管理する組織体制について、2021年7月1日付でリスク管理部署をセキュリティ部門から独立させ、CEO直下に移管し、リスク管理部署においてLINEグループ全体のリスクを一元的に管理・分析するなど、リスク管理機能の強化を実施しております。

 

リスク管理機能・活動の強化

事業部門による自律的なリスク管理活動の強化を進めております。具体的には、2021年7月より順次、各事業部門にリスクマネージャーを設置し、リスクマネージャーがサービスごとの固有のリスクに対するルールの策定・浸透を担うことで、事前のリスク回避を図り、より安心してご利用いただけるサービスの開発および運営を行います。

さらにリスク管理機能の強化として、同年10月1日付で、CEOを委員長とし、取締役、上級執行役員、管理部門執行役員・責任者、海外子会社役員を委員とするリスク管理委員会を設置いたしました。今後リスク管理委員会では、LINEグループの戦略と事業目標の達成に影響を及ぼすリスクについて適時議論し、対応策を決定してまいります。

そのほか、全社的なガバナンス機能、リスク管理機能の強化と整理を行うCEO直下のタスクフォース、開発ガバナンスのための具体的な実行を担うCTO直下のタスクフォースを設置し、両タスクフォースが協働して各管轄部署による改善策の進捗状況等の管理を行います。

* タスクフォース:必要に応じ、各組織の人員を横断的に配置し、特定の目的の業務を遂行する有期の組織

 

(2) 子会社管理体制の強化

2021年10月15日付で、新たに管理部門統括執行役員を配置するとともに、子会社管理部門を新設し、海外子会社を含むLINEグループ子会社のガバナンス強化と密な連携を図ります。

 

(3) 開発体制

グローバルな連携体制の強化

これまでも当社は、当社グループ会社内での協業において強い連携を行ってまいりましたが、当社が事業主体となる共同開発や開発委託等のプロジェクトにおいて、当社が承認したプロセスが適切に運用され、また、プロジェクトメンバーの視点からみて当該運用の透明性が担保されるよう、グローバルな連携体制を再構築し、より一層強化してまいります。

 

開発・品質管理・障害対応等に係るルール・ガイドラインの策定および運用

CTO直下に、海外子会社を含むLINEグループにおける開発業務のシステム化および技術戦略体系化等を担うCTO室、および開発ガバナンスのための具体的な実行を担うタスクフォースを設置し、開発・品質管理・障害対応等に係るルール・ガイドラインの策定および運用や、策定したルールの運用に関する点検プロセスの整備を進めております。

 

(4) 個人情報保護体制

これまで当社は、個人情報保護委員会および総務省からの指導に対する具体的な改善策を検討・実施してまいりました*

さらに、各サービスで取得した個人情報の管理の一元化と管理状況の網羅的な把握の強化のため、LINEグループの各社や各サービス共通の個人情報管理台帳の整備を含め、個人情報管理の可視化およびそのための環境整備を進めております。

 

* 当社に対する個人情報保護委員会からの指導および当社の改善策について:https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3718

当社に対する総務省からの指導および当社の改善策について:https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3722

 

(5) 経済安全保障に関する管理体制

当社において、ガバメントアクセスのリスクを含む経済安全保障分野に関する管理体制が不十分であったことに対し、経済安全保障を考慮したデータガバナンス体制を構築していく必要があると認識しております。今後、当社に限らず、Zホールディングス等を含むグループ全体として経済安全保障リスクを考慮した一体的な管理体制を構築することが検討されていることに対し、当社としても連携を行ってまいります。

 

 

2. ユーザー・中央省庁等を含むステークホルダーへの説明責任の強化

 

(1) 情報の収集・管理体制

前述のCEO直下のタスクフォース、および事業部門と管理部門の連携体制を強化すること等を目的とした横串での経営課題を協議する会議体において、取締役・上級執行役員や管理部門責任者等の関係者が必要な情報共有などを行うことにより、情報共有の横連携を図ってまいります。

 

(2) 情報発信体制

公共関連組織における改善策

従来公共政策部門および政策渉外部門において、対外的な情報発信の具体的内容まで踏み込んだ正確性および適切性を事前および事後に組織的に担保する仕組みが整備されていなかった等の課題がありました。これに対し、当社の各部署から、政党、政治家、官公庁、地方自治体等の公的セクターへの交渉など渉外活動を伴う対外コミュニケーションを行う際に用いる資料を、関係する技術部門や事業部門等の第1線部門に加え、必要に応じて法務やセキュリティ等の専門部門、広報部門やコンプライアンス部門を経て、政策渉外部門が事前に検証することとしました。また事後的に、当該資料の作成から完成、提示、議事録の検証までの過程を内部監査部門が監査する体制の整備を行ってまいります。

 

広報機能の強化

説明責任強化の観点から、当社の広報機能を強化し、ステークホルダーに対して正しい情報を発信していくための取り組みを推進いたします。その一環として、2021年10月1日付でZホールディングスより広報人材を迎え入れており、今後Zホールディングスとの連携も強化してまいります。

 

 

 

当社は今後、上記の各改善・強化策について、CEO直下のタスクフォースおよび横串での経営課題を協議する会議体において、その進捗状況を管理してまいります。そして、各取り組みを着実に実行していくことで、ユーザーおよび関係者の皆さまに安心してサービスをご利用いただくためのデータ管理体制を構築し、正確性と透明性をもってユーザーや社会の目線に立った対外コミュニケーションを徹底してまいります。

 

 

 

■特別委員会による最終報告書について

本日発表された最終報告書については以下をご参照ください。

 

「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会」最終報告

・(日)https://www.z-holdings.co.jp/notice/20211018

・(英)https://www.z-holdings.co.jp/en/notice/20211018

 

「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会」最終報告書受領および今後のグループガバナンス強化について

・(日)https://www.z-holdings.co.jp/pr/press-release/2021/1018

・(英)https://www.z-holdings.co.jp/en/pr/press-release/2021/1018

 

 

■これまでの当社の主な取り組みについて

2021年3月31日

LINEプライバシーポリシーを改定し、個人に関する情報へのアクセスや保管に係るデータ移転について、当該業務が発生する拠点がある国名やそのケースおよび関連業務等について明示いたしました。

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3684

 

2021年4月30日

当社の金融グループ会社であるLINE Pay株式会社、LVC株式会社、LINE Financial株式会社、LINE証券株式会社、LINE Credit株式会社のプライバシーポリシーを改定し、個人に関する情報へのアクセスや保管に係るデータ移転について、当該業務が発生する拠点がある国名やそのケースおよび関連業務等について明示いたしました。

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3732

 

2021年6月11日

データの国内移転の詳細スケジュールを開示いたしました。

これまで、LINEのトークで送信した画像・動画・ファイルデータ、LINE公式アカウントのトーク機能の画像・動画・ファイルデータ、LINE Payの取引情報・⼀部の利⽤者情報、LINEドクターの保険証・明細書・領収書・医師免許証等の画像データ、LINEヘルスケアの医師免許証等の画像データなどの移転が完了しております。

その他のデータの移転状況や移転スケジュールについても、適宜以下のサイトにて開示しております。

https://linecorp.com/ja/data_transfer/

https://d.line-scdn.net/stf/linecorp/ja/pr/data_transfer_list.pdf

 

2021年7月8日

LINEヘルスケア株式会社の提供サービスにおけるプライバシーポリシーを改定し、個人に関する情報へのアクセスや保管に係るデータ移転について、当該業務が発生する拠点がある国名やそのケースおよび関連業務等について明示いたしました。

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3820

 

2021年8月4日

中国で実施する業務について、日本ユーザーの個人情報を取り扱わない範囲での業務方針を策定いたしました。

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3857

 

 

その他の当社における個人情報の取り扱いに関連する主な取り組みについては、以下をご参照ください。

LINEにおける個人情報の取り扱いに関連する主な予定について:https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3680