LINE、コンピュータービジョン分野における世界最高峰の国際会議のひとつ「ICCV 2021」にて2本の論文が採択

2021.07.28 技術情報

画像・映像分析などに活用される「点群解析技術」の認識精度向上を実現

 

LINE株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:出澤 剛)は、コンピュータービジョン分野におけるトップカンファレンスのひとつ「ICCV」において、様々な角度から撮影された画像や映像の分析などに活用される「点群解析技術」に関する2本の論文が採択され、さらにそのうち1本が口頭発表論文として選ばれましたので、お知らせいたします。

 

「ICCV(International Conference on Computer Vision)」は、IEEE Computer SocietyおよびComputer Vision Foundationが主催するコンピュータービジョン分野における世界最高峰の国際会議のひとつです。会議は2年毎に開催され、今年は6236件の投稿の中から1617件(全体の25.9%)の論文が採択されています。そのうち、口頭発表論文として選出される論文は210件(全体の3%)と非常に限られています。採択された論文は、10月11日から17日までオンラインで開催される「ICCV 2021」にて発表を行います。

 

■LINEがコンピュータービジョン分野の基礎研究として注力してきた「点群解析技術」

LINEでは、AI事業を戦略事業のひとつとして位置付け、新たなAI関連サービス・新機能の創出を進めるとともに、NAVERと連携しながら、それらを支える技術の基礎研究にも注力しています。そして、「データ基盤開発」「データ分析」「機械学習/AI技術開発」「基礎研究」を担う各チームが事業や担当領域を超えて連携することで、「研究 > 開発 > 事業化」のサイクルをスピードアップすることを目指しています。

基礎研究においては、機械学習を軸に、音声処理、言語理解、画像認識などに注力しています。そのうち、画像認識・コンピュータービジョン分野においては、様々な視点から撮影された映像を同じ空間のものとして理解する上で重要になる、画像や映像上の特徴的な点の照合・分類・関係理解などを実現する「点群解析技術」の研究を進め、その成果を「CVPR 2020(IEEE conference on Computer Vision and Pattern Recognition)」や「ICRA 2021(International Conference on Robotics and Automation)」などで発表してまいりました。

 

■簡素な方法による「点群解析」を実現した研究が評価され採択

今回の「ICCV 2021」では、国立情報学研究所とLINEにて設置した共同研究部門「ロバストインテリジェンス・ソーシャルテクノロジー研究センター(Center for Robust Intelligence and Social Technology, 略称CRIS)」の活動の一環として、大阪大学大学院 松下研究室と実施した共同研究の成果が採択されました。同じ空間を様々な視点から撮影した画像や映像を解析する上で、共通して見える部分と見えない部分を理解することはとても重要な課題です。この研究では、この問題を「Generalized Shuffled Linear Regression」と定義し、共通部分とそれ以外を自動的に区別しつつ互いの関係を求める手法を提案しました。様々な応用が考えられる一般的な問題設定であることが評価され、数少ない口頭発表論文の1本として採択されました。

また、三次元形状を理解する上で、一般的には一つの共通視点に情報を集約する方策が取られますが、もう一方の研究ではこの集約方法の問題点を指摘した上で、解析に最適な視点を選択するニューラルネットワークベースのモジュールの提案を行いました。視点の曖昧さの検証や、シンプルな方法で既存研究を大幅に上回る識別精度を実現したことが評価され、採択されました。

 

このたび採択された論文

・Generalized Shuffled Linear Regression(口頭発表/Oral)

 Feiran Li(*), Kent Fujiwara, Fumio Okura(*), and Yasuyuki Matsushita(*)

・A Closer Look at Rotation-invariant Deep Point Cloud Analysis

 Feiran Li(*), Kent Fujiwara, Fumio Okura(*), and Yasuyuki Matsushita(*)

 

  *大阪大学大学院情報科学研究科

 

■基礎研究を継続的に推進、LINEが提供するコンピュータービジョンに関連する応用技術の品質向上も目指す

 LINEのAI事業「LINE CLOVA」では、様々なAI技術やサービスを通して、生活やビジネスに潜む煩わしさを解消すること、社会基盤や生活の質を向上させることで、より便利で豊かな世界をもたらすことを目指しています。現在、コンピュータービジョンに関連する応用技術として「CLOVA OCR(文字認識)」「CLOVA Face(顔認識)」等を保有しており、それらの技術を組み合わせたソリューションとして、領収書・請求書の読み込みを自動化できるサービスや、個人認証を高精度かつ手軽に実現するeKYC(オンライン本人確認)などを提供しております。

今後も、コンピュータービジョンに関連する基礎研究を積極的に推進し、既存サービスの品質向上や新たな機能・サービスの創出に努めてまいります。

 

 

LINEでは、今後も事業発展やサービスの価値向上のための取り組みを積極的に行い、コミュニケーションインフラとして更なる成長・拡大の可能性を広げてまいります。