【コーポレート】“電脳防災コンソーシアム”の設立

2017.10.19 コーポレート

~インターネット・メディア・AIで究める防災・減災~

 

 

  • 慶應義塾大学環境情報学部山口真吾研究室、国立研究開発法人情報通信研究機構、国立研究開発法人防災科学技術研究所、ヤフー株式会社及びLINE株式会社は、国民生活に身近なインターネット・メディア・人工知能(AI)を積極的に活用する防災・減災をめざして電脳防災コンソーシアムを共同で設立しました。
  • 本コンソーシアムは、被災者・避難所の支援につなげるための災害情報に関する課題整理などを行い、政策提言をとりまとめます。
  • 第1回会合を11月中に開催する予定です。

 

 

1.設立の趣意

迅速かつ円滑な災害応急対策や被災者支援には、正確な情報分析・共有が不可欠です。

しかし、実際の現場は、絶望的な情報不足に陥るか、または時々刻々と変化する膨大な情報で混乱状態になります。情報通信技術(ICT)が発達しているにもかかわらず、被災者と行政機関を結ぶ「命綱」は音声電話しか用意されていません。情報は災害対策本部に集約されることになっているため、行政機関が麻痺すれば地域全体の活動が停滞します。災害対策本部のホワイトボードで整理された情報は、わずか数メートル圏内の人間しかアクセスできません。

このような情報不足と情報過多の問題、コミュニケーションのボトルネック問題、情報整理方法のレガシー問題を解決するためには、もはや最新の情報通信技術の抜本的導入を真剣に検討せざるを得ない状況になっています。

スマートフォンが生活の中心となった現代社会において防災・減災を究めるためには、インターネット・メディア・AI(以下「インターネット等」)の積極的な活用が不可欠です。また、平時の防犯、セキュリティ、大規模事故、雑踏事故、パンデミック、テロ等のリスク対策においても、インターネット等が大いに期待されています。

防災・減災の究極の目的は「人の命を守る」ことです。であるならば、被災地の住民・旅行者・外国人に最もリーチできているインターネット等を活用することが、災害対策の一番の近道であるはずです。特に、多発する災害関連死を防止するためには、人々に寄り添うことができるインターネット等の可能性を重視すべきです。

こうした期待を受けて、一部のインターネット企業においては、スマートフォン利用者への災害対応サービスを展開しています。また、政府では、膨大な災害情報の分析を可能とするため、AIによってSNS情報を分析するプロジェクトが進められています。

しかし、オールジャパンの取組としてインターネット等を防災・減災に役立てるためには、断片的に進められている産学官の取組の連携、組織縦割りを排した情報共有体制の確立、官民の情報システムのネットワーク化、最新技術に関する周知啓発、災害情報に関する標準化といった課題が山積しています。

本日設立した電脳防災コンソーシアムでは、これらの課題解決に向けて議論をリードし、政府・地方公共団体・指定公共機関と連携することによって、防災力強化を実現する政策提言をめざします。また、関連する地域実証プロジェクトを支援することにより、防災・減災における課題解決とイノベーション実現に貢献します。 

 

2.検討内容(予定)

・被災者・避難所の支援につなげるための災害情報に関する課題整理

・インターネットを通じて被災者から災害情報を大規模に集信する仕組みづくり

・防災・減災のためのインターネット・メディア・AIの一層の活用方策

・関連する地域実証プロジェクトの協力・支援

・上記に関する政策提言のとりまとめ 等

 

3.コンソーシアムメンバー

【共同代表】(五十音順・敬称略)

臼田 裕一郎    国立研究開発 人防災科学技術研究所 総合防災情報センター長

江口清貴     LINE(株)公共政策室長、一般社団法人モバイルコンテンツフォーラム常務理事、一般財団法人情報法制研究所 専務理事

竹内美尋     ヤフー(株) メディアカンパニー ライフライン事業本部 災害サービスマネージャー

鳥澤 健太郎    国立研究開発法人情報通信研究機構 データ駆動知能システム研究センター長

山口真吾     慶應義塾大学 環境情報学部 准教授

 

【幹事・事務局長】

木戸冬子     国立情報学研究所 研究戦略室 特任助教

 

【委 員】

東 博暢     (株)日本総合研究所 プリンシパル

鵜野正志     東京都 総務局総合防災部 防災通信課長

岡本 正      銀座パートナーズ法律事務所 弁護士・博士(法学)・防災士

織田美穂     アビームコンサルティング(株) 執行役員

樫原 猛      豊島区 総務部 防災危機管理課長 

金谷泰宏     国立保健医療科学院 健康危機管理研究部長、東京工業大学特定教授

小林和則     (株)NTTドコモ サービス運営部 災害対策室 室長

小和田香     ソフトバンク(株)テクノロジーユニット ソリューション推進室 兼
         AI&データサイエンス部 プロフェッショナルテクニカルマネージャー 

近藤久禎     国立病院機構災害医療センター 副災害医療部長、厚生労働省DMAT事務局次長

ショウ・ラジブ   慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科 教授

瀬尾  淳     スカパーJSAT株式会社 宇宙・衛星事業本部 法人事業部 部長代行

橋爪尚泰     NHK報道局 災害・気象センターセンター長

久永一成     (株)フジテレビジョン 報道局取材センター ネット取材部 部長

平本健二     東京大学公共政策大学院 非常勤講師(兼 内閣官房政府CIO補佐官・経済産業省CIO補佐官)

松本邦久     下田有線テレビ放送(株) 常務取締役

武藤 俊一     一般財団法人全国地域情報化推進協会 企画部担当部長

村上 建治郎    (株)Spectee 代表取締役CEO

 

4.今後のスケジュール

2017年11月 第1回会合の開催

~以降は毎月1回のペースで会合を開催~

2018年4月頃(予定) 中間とりまとめの公表、公開シンポジウムの開催