LINEのチャットボットと、災害時の情報収集・共有のためのシステムを活用した防災訓練を実施しました

LINE株式会社は、2018年9月26日に、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)と、防災・減災分野においてインターネット・AI技術を積極的に活用することで、災害対応能力の高い社会を構築することを目的に「インターネット・AI技術を活用した防災・減災に向けた連携協力に関する協定」を締結※しています。その一貫として、AIチャットボットを利用した災害情報収集の仕組みの確立を目指しています。

※協定の詳細についてはこちらをご覧ください

 

NIEDをはじめ、防災・減災に関する内閣府のプロジェクトや、AI基盤技術の産業分野での活用を目指す総務省のプロジェクトに参画する企業・団体・有識者などと協力し、LINEのチャットボットと災害時の情報収集・共有のためのシステムを活用した防災訓練を、神戸市と下田市にて実施しました。

LINE上に開設した訓練用防災チャットボットアカウントでは、自治体や救助活動を行う組織が適切な対応を行うために必要な情報を重点的に収集すること、デマの恐れがある情報の正否を現場に確認すること、被災者に正しい情報をチャットボットを介して提供することを目指しています。

今回の訓練では、自治体職員や住民が参加し、災害発生の想定のもと、訓練用防災チャットボットアカウントを通じて被害状況をテキストや写真、位置情報などを伝達しました。チャットボットに伝えられた情報は、システムが自動的に整理・分類して地図上にマッピングされます。自治体の災害対策本部等は、これらの情報を、適切な対応を行うための判断の一助として活用することができます。

LINEの訓練用防災チャットボットアカウントでのトーク画面

 

収集された情報は整理されて地図上にマッピング

 

訓練を通し、LINEのAIチャットボットが発災後短時間での被災状況の把握や、災害の全容把握のツールとなりえることを示すことができました。今後、各自治体ではシステム活用の検討を、またLINEでは下記のポイントをもとに、システムのさらなる改良を進めてまいります。

・被災者と災害対策本部 双方に役立つツールであること
LINEだけでなく、Twitterをはじめとする各種SNSからの情報や、自治体が有する情報など、多くの情報をシステムに投入して運用する予定です。例えば被災者がAIチャットボットを通して避難場所の問い合わせをすると、それらの情報をもとに自動回答してくれるような仕組みを開発することで、自治体や救助活動を行う組織だけでなく、被災者にとっても役立つものになることを目指しています。

・普段使いできるツールであること
災害時に災害専用のツールを使おうとしても使い方がわからないということはよくあります。普段から利用しているLINEで、普段と同じように災害時にも使えることは、とても重要であると考えています。そのため、本システムで利用するAIチャットボットは、普段使いができる機能をもち、災害時には災害モードに切り替わるといった機能も持たせる予定です。

 

【神戸市訓練概要】
日程:2018年12月21日
主催:神戸市
協力:LINE、NIED、株式会社ウェザーニュース(WNI)、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
設定:「阪神・淡路大震災」の実際の被害を想定

 

【下田市訓練概要】
日程:2019年1月28日
共催:下田市、アビームコンサルティング株式会社、LINE
協力:慶応義塾大学山口真吾研究室、NIED、WNI、下田有線テレビ放送
設定:観光シーズン(8月頃)のある日に、台風による大規模風水害・土砂災害が発生