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山崎 天 / AI:NLP
- 自己紹介をお願いします
- 2021年に新卒入社しました、AI開発室 NLP開発チームの山崎天です。大学院時代には、対話システムの研究をしていました。研究テーマは「チャットボットをどのように開発・運用すると特定のタスクをこなせるのか、心地よく対話ができるのか」といった内容です。
余談なのですが、私はスケジュールの管理などがとても苦手な人間です。そういった情報を管理してくれる、オンライン秘書のようなチャットボットがほしいと思っていました。そんなシステムを作りたいと考えて、対話システムの研究・開発に取り組んでいて、その想いが今につながっています。
そして研究したことを、仕事でも活かしたいと考えていました。そんな中、LINEが「LINE CLOVA」を搭載したスマートスピーカーをリリースしているのを目にし、このサービスを実現するために、非常に高度なAIの技術が使われていることを知りました。
日本国内で、チャットボットの研究・開発に取り組んでいる企業はそれほど多くありません。その数少ない会社のひとつがLINEでした。この会社で働けば自分の理想を実現できると思い、就職活動で採用選考に応募しました。採用面接では、私の研究テーマだった共通認識基盤というちょっとニッチな領域に関する具体的な質問をたくさんしてくれました。共通認識基盤を意識した技術をLINE CLOVAに取り込むことで、ユーザーと関係性を築けるチャットボットを作れるのではないかという話で盛り上がったことを覚えています。
LINEという会社やそこで働く人が、自分にちゃんと興味を持ってくれていることがわかって、嬉しかったですね。他にも、採用面接の会話の中でいくつもサービスのアイデアが生まれました。LINEならば有意義な仕事やサービス開発ができそうだと思い、入社を決意しました。
- 業務内容や具体的な流れを教えてください
- 私たちは日本語に特化した大規模汎用言語モデルである「HyperCLOVA」を開発しています。HyperCLOVAは、LINEとNAVERが共同で開発した世界初の日本語に特化した大規模汎用言語モデルで、膨大なデータを学習させたモデルに対し、少量の言語をインプットすることで、文脈にあった言語処理や、エージェントと人間の自然な対話を可能にするものです。 そして、HyperCLOVAを実際のサービスに落とし込む方法を考えるのが私の役割で、活用方法のデモを作ったり、HyperCLOVAの機能をサービス化するための実装をしたりといった業務をメインで担当しています。
私はデモ制作を担当している関係上、モデルのトレーニングを行うだけではなく、Vue.jsやPythonを用いてWebアプリケーション開発を行うことも多いです。メンバーごとに役割が違っていて、言語モデルやNLPの要素技術の研究開発など、バックエンドの部分に注力して実装することを主な業務としている方もいます。使う技術や知識は担当プロジェクトごとに変わってくるので、隣のメンバーは別のNLP分野の専門家だったりします。私は言語モデル自体を訓練する業務は少なく、HyperCLOVAのチューニングなど、他の技術開発に寄っています。また、NLP開発チーム内には専任のインフラエンジニアがいませんが、LINE社内ではインフラのプラットフォームが充実しており、インフラ専門の方々と協力しながら開発を進めていきます。幅広い技術領域をフルスタックに取り扱っているのが、私の業務の特徴だと思います。
デモ制作業務の具体的な流れについても説明しますね。まずHyperCLOVAの機能を有効活用するための企画の方向性を決めます。たとえば、HyperCLOVAはメールの文面を作ることを得意としているため、「人間が雑に書いた箇条書きをインプットして、綺麗に整備されたメールの文章をアウトプットする」などの企画を立案します。これが最初のステップです。
次のステップとして、デモアプリを作りWeb上で誰もが使える形にして、社内に公開します。社内である程度情報が流通して触ってくれる人が増えると、いろんなチームから「自分たちのサービスに、こういった機能を取り入れられないだろうか」といった連絡が来るんです。他チームのメンバーとNLP開発チームのマネージャー、そして私でミーティングを実施し、要件が定まると実サービスへの導入プロジェクトがスタートし開発が進んでいきます。AIが活用されることや、AIを組み込むによるサービスが進化する、そういった流れのスタート地点を提示して動かし出すことが役割ですかね。
- 仕事を進める上で、意識していることはありますか
- 自然言語処理の要素技術をそのまま社内のメンバーに提供しても、多くの人たちはどうやって活用すればいいのかがわかりません。私たち特定技術の専門家は、専門領域についての知識を深めるだけではなく、エンドユーザーがどのような課題を持っているのかを知る必要があります。そして、その課題をもとにして技術の活用方法を考えなければ、決してサービス化や本当の意味でのAIの価値には結びつきません。
私たちNLP開発チームは、上司がメンバーになんらかのタスクを割り当てるのではなく、メンバーが自ら手を挙げて自分の担当プロジェクトを決めています。私は対話システムに関する技術を極めたいと思っているため、対話システム系のプロジェクトがある場合には、積極的に立候補するようにしています。
常に最新技術の動向を追って、業務の中で活用することも心がけています。自然言語処理の領域は技術の進歩が速いため、少しでも勉強を怠っているとすぐについていけなくなってしまいます。幸いなことに、LINEは業務時間中に論文を読む時間を取りやすい体制です。先ほども述べたように、NLP開発チームでは自分が携わるプロジェクトをある程度選択できるため、稼働時間の一定の割合を、論文を読む作業に充てることもできます。非常に裁量の大きい環境であり、この環境で働いたことでセルフマネジメント能力が高くなったとも感じています。
- おもしろいことや難しいことなど、働く中でこれまでに得た感触を教えてください
- 自然言語処理の技術は、私たちにとって馴染みのある日本語を扱っているため、結果の良し悪しがわかりやすいことが特徴です。旧来の自然言語処理はあまり精度が良くなかったのですが、近年にディープラーニングのTransformerが登場してから躍進的に精度が向上しました。そのため、LINE社内の他組織のエンジニアにデモを見せると「そんなにすごいことを実現できるのか」と驚かれることも多いです。そんなときには、自分が取り組んできた仕事を誇りに感じると同時に、それがサービスやその発展につながっていく楽しさを感じます。
難しい点もたくさんあります。たとえばAI技術は比較的センシティブなデータを扱うことが多いため、倫理的な課題と向き合う必要があります。AIサービスを世に出すために解決の努力が必要なクリティカルな課題です。また、「きっとこういったニーズがあるはずだ」と思って作ったデモに、社内からの反響が全くないことも少なくありません。私たち自然言語処理の専門家が考えている課題と、実際のサービスの課題にギャップがあることが原因です。
先ほどの話にも通じますが、自然言語処理の知識だけではなく各サービスやそのユーザーについての理解も必要になる仕事です。特定領域の専門性と同じくらい、課題解決の意識を高く持つ必要があります。色んな研究や技術を学ぶことに喜びを感じている学生の皆さんもぜひ、「自分が利用している技術で、どのような課題を解決できるのか」を普段から考えるようにすると良いと思います。技術は他の人々にその価値を知ってもらうことで、初めて利用してもらえるようになるということも、働く中で日々意識する観点です。
見てもらう機会やキッカケを作らないと、どんなにすごい技術をつくったとしても誰にも伝わらないので、自分の扱っている技術をプレゼンテーションできるようにしておくことも大切だと思います。そのためにも、AIや機械学習だけではなく、動くアプリを作るためのWebの技術も習得することなども、一つの有力な選択肢だと感じています。
- LINEに入社して良かったと感じることはなんですか
- たとえ新卒メンバーが出した意見であっても、それを他のメンバーや上司が真摯に聞いてくれることです。「上司の言ったことには従わなければならない」という会社もあると思いますが、LINEは全くそうではありません。何かのアイデアを出せば、必ずそれを周りの人たちが前向きに建設的に受け入れてくれる。それに、自分の出した成果を適正に評価してもらえます。
また、NLP開発チームの中には、自然言語処理の界隈でも名を知られているような、優秀なエンジニアが何人もいます。たとえばNEologdというライブラリを開発した著名なエンジニアがチームのマネージャーです。そのマネージャーにも、「尊敬できるメンバーに囲まれて仕事ができるこの環境に入れるのは、運がいいことだよ」とよく言われます(笑)。他にもチームには続々と優秀なメンバーが入っていますし、この今の刺激の多い環境で働けることが、充実した時間を過ごせている大きな要因だと感じています。
周囲の人々に負けないように、私も自然言語処理の分野で、自分のプレゼンスを高めていきたいと考えています。色んなコンペティションとかにも出したりしていて、界隈に名前や成果を出していくということも意識しながら働いていたりもしますね。チャットボットが大好きなので、いろんな活動を通じて自分が知名度や影響力を適切に高めることでチャットボットの領域自体を大きく育てて、その地位を上げていくことにもなると思っています。技術力も社内外への影響力も、両方高めていきたいです。
NLP開発チームの人は、自分の好きな課題の解決や領域の発展にモチベーションがある人が多い気がします。固有表現抽出という分野がすごい大好きな同僚がいるんですけど、色んなところで自分の技術が使われることをモチベーションに精力的に動いています。共感できる前向きな姿勢で研究・開発に取り組むを同僚がたくさんいることも、LINEの良いところかなと思いますね。
- 最後にメッセージを
- LINEという会社には、素晴らしいスキルを持った人たちが集まっています。私が専門とする自然言語処理の領域にはさまざまな要素技術があるのですが、NLP開発チーム内にはそれぞれの技術のスペシャリストが所属しています。私にとっての対話システムがそうであるように、何か突き詰めたい技術がある人にとっては、絶好の環境です。
世の中には「特定技術の研究のみに携わり、ユーザーに使われるプロダクトの開発にはあまり携われない」という環境もあれば、「プロダクト開発には携われるものの、特定技術を深く研究できない」という環境もあります。ですが、その塩梅を自分の意志でうまく調整できるのがLINEの魅力です。研究者・エンジニアとしての今後のキャリアプランをより豊かなものにできます。「○○を実現したい」という強い意志を持っている方は、ぜひLINEを検討してみてください。
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