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北川 尚生 / BXデザイナー

自己紹介をお願いします
BXデザイナーの北川尚生です。2019年に新卒で入社し、BXデザイン室BXデザイン3チームに所属しています。

今はグラフィックデザインを中心に手掛けていますが、大学時代は家具や電化製品など、立体物が中心のプロダクトデザインを専攻していました。大学の課題では「何を作るか」というコンセプトから自分で考えて作っていたので、就職においてもコンセプトから考えて作れる組織がいいなと考えていました。ただ、一般的にプロダクトデザインの場合は、コンセプトや仕様、構造があらかじめ決まっていることも多いんですよ。なので、就職活動においてはプロダクトデザイン以外の分野へも範囲を広げて、色々な企業を見ていきました。

LINEにエントリーしたきっかけは、LINE KYOTOの紹介動画を偶然見たことです。僕が就活をしていた2018年は、東京と福岡に続く国内3番目となる、エンジニアの開発拠点が完成したばかりだったんですね。その動画を見てすごく楽しそうだなと思いましたし、僕が通っていたのが京都にある大学だったこともあり、親近感も湧きました。LINEにもデザイン組織があるのでは?と思い採用情報を見てみたらデザイナーを募集していたので、その流れで衝動的にエントリーしました。

LINEの事業はとにかく幅広いため、デザインアウトプットの形も様々です。各種サービスのビジュアルなどオンライン上のアウトプットもあれば、ノベルティグッズなどオフラインで使用するアイテムもあります。コンセプトから考えるブランディングは自分が一番やりたいことでもあったため、入社を決めました。現在はLINEの各サービスや、コーポレートブランディングに関する様々な制作物のデザインを手がけています。
業務内容や具体的な流れを教えてください
僕が所属する組織の名称にもなっていますが、BXというのはブランドエクスペリエンスの略です。LINEという会社自体や様々なサービスのブランドづくりと、ブランドが提供する顧客体験をどのように作り出すかを考え、形にする仕事です。

BXデザイン室に所属するデザイナーの業務は多岐に渡ります。例えば、デザイン業務以外にもプロジェクトの進行管理や、関係各所との電話やメールでのやりとりなど、他社であれば営業やディレクターの人が担うような役割も、プロジェクトによってはデザイナーが担当することがあります。

業務は、社内の事業部から依頼を受けることから始まります。目的やリリース日など詳細をヒアリングした上で、中間デザイン共有や最終デザインFIXなどのマイルストーンを置いて、デザイナー自らスケジュールを設定します。デザインするものは、ロゴやシンボル、キービジュアル、イベントの設営物、オンラインやオフラインを問わず様々です。

依頼されて始まるとはいえ、作るものが全てあらかじめ決まっているとは限りません。時には、BXデザイン室から事業部へ制作物を提案することもあります。例えば、2021年にLINEのインターン生を迎え入れる際にはインターン用のキービジュアルを制作しましたが、当初は作る予定がありませんでした。「キービジュアルがあった方が良いのでは」と、私たちから作ることを提案したんです。ちなみに制作した内容などはクリエイティブセンターのnoteにレポートが上がってますので、ぜひ見てみてください。

実際のデザイン制作過程は、デザイナーや案件によって異なります。僕の場合は、まず依頼内容に応じてキーワードやデザインのコンセプトを設定し、リサーチやリファレンスの収集を行います。リサーチと手を動かす作業を往復しながら、形やレイアウトなどを検討していくんです。

デザインは、BXデザイン室のマネージャーと室長のチェック・修正作業を経て事業部へ共有します。その後、事業部からの要望の反映等、調整作業を行なってデザイン完了となります。ノベルティグッズなどオフライン制作物の場合は、その後に制作を担当いただく印刷会社等、協力会社とのやり取りも発生します。具体的な業務としては、見積もりを取って仕様を確定し、サンプルを確認して完成イメージをすり合わせながら制作をディレクションします。

最近手掛けたものの例を挙げると、「LINE BIZ DAY 2021」のキービジュアルは、ほとんど僕がメインで担当しました。このイベントはオンラインだったので、配信用のステージや会場のデザインも施工会社とやりとりをし、「どういう形にするか?」から考えてデザインしていきましたね。 Web上にも広告を出したのですが、登壇者ごとに広告が必要だったので、登壇者情報を入れ替え使用してもらえるようなフォーマットを作成しました。

入社してからしばらくの間は、1つのプロジェクトに対して自分を含めて2、3名のデザイナーがアサインされるケースが多かったのですが、最近は自分がメインで担当する機会も増えてきています。

業務の流れをざっと説明しましたが、このプロセスの一つひとつ全てが大事だと思います。デザイナーや企画者の自己満足にならないことが重要ですが、もちろん自分が満足できないものを出してはいけません。最終的に届けたい相手、つまりユーザーが見た時にそのサービスについて直感的に理解できるか、魅力的に感じるかが何よりも重要だと思います。
仕事を進める上で、意識していることはありますか
1つ目はスケジュールを守ることです。制作においてはクオリティを突き詰めればきりがないので、締め切りが無いとどこまでも作業できてしまいます。ダラダラと作ると届ける相手にもそれが伝わってしまう気がするので、自分で「この日までに仕上げる」と決めたスケジュールに沿って動くことが良いのではないかと思うんです。実は僕はスケジュール管理が苦手な方なのですが、日々その意識で取り組んでいます。

2つ目は、挑戦することです。人は易きに流れやすいので、意識していないといつも同じようなアウトプットになってしまうんですよね。例えば依頼内容に沿わないようなグラフィック表現であっても、一度は試してみるようにするなど、意識的に斬新なもの、斜め上のものを考えるようにしています。

LINEには既にコーポレートアイデンティティやビジョン、ミッションがあり、ブランドのガイドラインも制定されています。どのサービスにおいても共通するため、LINEという1つのブランドの中で、そのガイドラインを守りながらも似通うことのないように、各サービスの個性を出して細かく差別化することが求められます。この「LINEらしさの中でのチャレンジ」は難しくもあり、同時にやりがいのある部分でもあります。1ピクセル単位のディテールまで調整し試行錯誤を繰り返した結果、誰もが直感的に理解できるシンプルなものが出来上がる、というのがLINEのデザインなんです。

3つ目は、楽しむことですね。やっぱり、自分が楽しくなければ意味がないと思います。働かされていると感じるような状態は精神的にも良くないので、自分が楽しめるようにモチベーションや環境を整えるようにしています。
おもしろいことや難しいことなど、働く中でこれまでに得た感触を教えてください
BXデザイナーとして働いていて面白いと感じるのは、作るものの形から考えられることですね。業務内容のくだりでもお話ししたように、手を動かす作業とリサーチを往復しながら、形やレイアウトなどを検討していく過程は大変であり、やりがいでもあります。

もちろん、どういう形にするかで悩むこともあります。そういう時には、様々なアプローチを検討しながらも、最終的には形を簡潔に単純化していきます。なぜなら、LINEではコンセプトの部分がいかに簡潔に伝わるかを重視しているからです。もちろん、単純化されていたとしても美しくなければダメなので、ディテールまで作り込むことには変わりありません。

例えば、伝えたいメッセージやキーワードがある場合、要素をその1つに絞り、それがユーザーに端的に伝わるような形が理想的です。要素を足しすぎると、その1つが伝わりにくくなってしまうためです。

形以外の面でも、たくさん悩みます。作るうちにコンセプトから離れたアプローチとなってしまうこともありますが、そういった場合でもその案をボツにするのではなく、そのまま再びコンセプトに近づけていく、つまり立ち戻るアプローチを採ることで、コンセプトの根幹は変えずとも新たな視点や解釈を発見する場合もあります。これらの往復を無意識的に行うので、この一連の作業を行っている時の頭の中はカオス状態ですね。

難しいと感じる部分は、制作物によっては社内だけでなく外部の制作会社との連携が必要になることです。事業部と制作会社、その両方とやり取りしながら、予算やスケジュール、仕様をどうするかを決めて進めていく必要があります。様々な調整が発生するため大変ではありますが、実際に完成した物を見た時の達成感はたまりません。

成長したと感じるのは、グラフィックデザインができるようになったことです。実は入社当時は、ビジュアルを作ること自体も全くできなかったんです。大学まで取り組んでいたプロダクトデザインと、グラフィックデザインでは制作に使うツールが異なるので、全く使えなかったツールが使えるようになったことには成長を実感しますね。

僕はプロダクトデザインからBXデザインという領域の転換がありましたが、BXデザイン室の先輩からのフォローもあり、着実に階段を上れた感覚があります。入社してから1年間は、マネージャーに加えてメンターも1人付き、グラフィックデザインに関するフィールドワークなど、様々な課題にも取り組みました。領域の転換にあたっては正直不安もありましたが、BXデザイン室として教育や研修の計画も立てられているので、階段を一段ずつ上れたのだと思います。

コミュニケーションの面でも成長を感じます。もともとは、電話も苦手でした(笑)。制作物の種類が多いので、事業部や制作会社とのコミュニケーションもどうしても多くなります。苦手であったとしても電話やZoomなどで会話しなければならない場面があるので、経験を重ねるうちに、あまりためらわずにできるようになりました。

同時に、まだまだ課題もあります。入社して2年が経つと、自分が苦手な部分もよく見えてきますからね。コミュニケーションについても、電話こそ慣れましたが、例えば依頼内容のヒアリングなどはまだ至らない点が多いと思います。依頼書などのフォーマットは整っていますが、「追加で何を聞くべきか?」という勘所は経験が重要になるので、これから身につけていきたいですね。
LINEのデザイナーに必要だと感じることは何ですか
必要だと思う素養は、視野を広く持つことでしょうか。幅広いジャンルのものを作るので、グラフィックだけではなく、「色々なものを見たい、やってみたい!」と思える人のほうが向いていると思います。僕自身がそうであったように、実際にできるかどうかは問題ではなく、興味があるかどうかが大事です。

スキルの面では、BXデザイナーはAdobe Illustratorなどグラフィックデザインのソフトを使うことがほとんどであるため、それらのツールが使えるに越したことはないと思います。でも、僕も入社当時はあまり使えなかったので、必須ではないように思います。他のツールが使えるなら、むしろそれが強みになるかもしれません。

例えば僕の場合はプロダクトデザインの経験から3Dのソフトウェアが使えるため、トロフィーのような立体物のデザインをする際にはそのスキルが役立つんです。他にもモーショングラフィックスが作れるとか、プログラミングで何か簡単なものが作れるとか、そういう得意なスキルがあれば絶対に役に立ちます。もし何か得意分野があるのなら、それを生かせるのがLINEという環境ですね。
LINEに入社して良かったと感じることはなんですか
LINEは、「新卒だから何かが阻まれる」という場面がありません。もちろん「新卒だから雑用をやらされる」ということも全く無いです。

とはいえ、僕がそうであったように、新卒であればスキルがまだまだ至らないというところもあると思います。そういった理由から誰かの下で仕事をすることもありますが、基本的には他の社員と同じ平等な立場で仕事できるのはとても良い環境だと思います。

自分が初めてLINEのサービスのデザインを担当したのは、入社後半年という比較的早い段階でした。たとえ未経験の領域であったり、自分の能力に不安があったとしても、「やってみたい」という気持ちがあれば、周りがそれを助けてくれたり、応援してくれたりするんです。これはとてもLINEらしい文化だと思いますね。
最後にメッセージを
就活生の皆さんには、「あまり悩まないで大丈夫ですよ」と伝えたいです。新卒で入る会社って、あくまでも最初の1歩でしかないと思うんです。僕も元々はITと関係のない領域が専門でしたが、あまり深く考えずに「とりあえず飛び込んでみた」という感覚でした。成長したいという意欲や、自分が何をやりたいかという動機を大事に、自分に合う企業を見つけていただきたいなと思います。

LINEのBXデザイン室で面白いなと思うのは、良い意味で日本っぽくないところ。というのも、BXデザイナーは日本だけでなく、韓国や台湾、インドネシアなど各国のLINEに在籍しているんです。彼らとデザインやナレッジのシェアができるため、井の中の蛙になることがありません。デザインのリファレンスについても、海外のエージェンシーなどグローバルな視野で参照することが多いですね。

部署の中には空間デザインのチームや映像のチームもあるので、多彩な分野のデザイナーと協業しながら作り上げていく面白さもあります。クリエイティブに幅広く興味を持ち、デザイナーとして多角的に成長していきたいという人には、LINEはおすすめの環境です。