多くの気づきを得てほしい、アイデアの根幹に向き合うビジネスコンテスト

加藤 喜大

自己紹介をお願いします。

アカウント事業企画室 副室長の加藤 喜大です。LINEには2014年4月にセールス職として新卒入社しました。3年目から事業企画にジョブチェンジをし、LINE広告に5年ほど携わり、今はLINE公式アカウントを中心に担当しています。

現在の主なミッションは、LINE公式アカウントの予算策定および予算達成のための戦略策定です。戦略を成し遂げるための機能をプロダクトマネージャー(以下、PM)と一緒に検討し、その機能をセールス担当を交え推進していくような仕事をしています。PMがエンジニアと一緒により詳細なプロダクトの機能を開発していき、事業企画はセールスと営業推進をする組織とコミュニケーションを取ることが多いですね。Webサイトなどを経由して顧客へアプローチをする法人マーケティングの組織もあるので、マーケティング担当とWebサイトに掲載するコンテンツを協力して企画・制作することもあります。LINEの法人向け事業に関わるさまざまな職種のハブになりながら、事業を育てていくようなポジションだと思っています。

ビジネスコンテストの概要を教えてください

LINEのプロダクトを活用したマーケティングやDX/CX推進など、法人向け事業における新規事業の企画をグループで考え、提案を行うビジネスコンテストです。LINEには既に多様なソリューションがあるため、事業形態の検討や集客などの手段やデータがある程度揃っています。そのため、アイデアを考えて終わりではなく、考えたアイデアをいかに成長に導いていくか、事業のグロース戦略の施策検討に取り組める点は LINEらしさでもあり、ビジネスコンテストのおもしろいポイントだと思っています。

プログラムはオンラインで実施します。選考を通過し、参加が確定した方は9月1日(金)に事前キックオフを行います。本番の日程は、9月9日(土)にオリエンテーションとインプットを行い、9月10日(日)〜9月15日(金)の6日間は各グループに分かれてワークに取り組む期間となっています。最後の9月16日(土)、17日(日)の2日間でグループワークで考えた企画の発表と審査員からのフィードバックを行います。メンター社員との相談時間は定期的に設けていますが、グループワークの時間の使い方・進め方はグループ内で決めてもらい、ワークに取り組んでもらいます。

メンターとして、どのようなサポートがありますか?

私は昨年もメンターを担当しましたが、なるべく参加者主導で考えてもらい、必要以上に手を出さないことを意識していました。なるべくリアルに、プロとして仕事を進めるイメージを持ってもらいたいこともあり、メンターが手取り足取り教えるような動きはしていません。ただし、発散し続けて議論が収束しなさそうなシーンや、スケジュールが考慮されていないシーンでは議論が前に進むような投げかけをするようにしていました。

逆に議論が尽くされてないまま進んでしまうことにブレーキを掛けることもありました。グループワークではどうしても、早い段階で1つ良いアイデアが出ると、その案だけを深く考えすぎてしまうことも起こりがちです。複数のアイデアを候補にあげたうえで、それぞれのメリット・デメリットを検討し、そこから具体的に深掘りするアイデアを決めていく動きが重要ですが、特に序盤はいきなりひとつを深掘りしてしまうケースがよく見られたので、軌道修正をしていきましたね。

グループワークを進めるうえで重要なのは、ゴールを言語化させること。お題は与えられますが、そこからお題を噛み砕いて言語化していき「最終地点はどのような状態なのか」をチーム内で議論してもらいます。その認識合わせができているとアイデアが発散しがちになってしまっても「でもそれってゴールと違うんじゃない?」「やった方が良いけど今回のゴールを考えると優先度は高くない」と自然と収束していくので、序盤から「どんなゴールを目指すのか」をメンターからは投げかけるようにしています。ちなみに業務同様にタイムマネジメントの観点でも、ワーク序盤の段階から最終地点を見据えた数日間のスケジュールをきちんと考えてもらいますね。

また、グループワークのなかで、参加者の役割を固定しすぎないようにすることもメンターとして見るようにしています。実際の仕事では、常に進行のリードだけするわけでも、リサーチだけするわけでもありません。各プロジェクトにおける立ち位置や果たすべき役割はさまざまです。複数の立場を経験し、機能できるようにワーク中にもあえて参加者それぞれの役割が固定されすぎないようにしていました。

本来そういった役割は個人のスキルで決まるはずなのに、初対面同士であったり期間の短いプロジェクトだと、個人の第一印象やキャラクターなど参加する学生の主観で決まってしまう部分も多いなと。そういった主観や学生たちが思っている”得意”や”苦手”は私から見るとそうでもないことが頻繁にあります。そこで、意図的に役割の入れ替えを促すことでチームがワークし始めたり、個々人が知らなかった良さが見えてきたりします。少ない日数のプログラムだからこそ、役割を固定しすぎないこと、キャラクターに依存させない役割分担にすることは学生だけだと気づきにくい視点なのでメンターとしても意識していたポイントでした。

インターンシップの選考フローと、その過程で見るポイントを教えてください。

選考フローは、エントリーシートと新規事業を考えてもらう企画課題、SPIをセットで提出してもらう書類選考から始まり、その後、2回の面接を想定しています。二次面接の際には、現場のシニアマネージャーに対して実際に提出した企画課題のプレゼンをしてもらいます。そこで考えの深掘りやディスカッションを通じ、ビジネスコンテストで活躍できそうかの判断をしています。ユーザーや世の中に対してどのような課題を解決したいと考えているのか、なぜそれらを課題に感じているのかといった考えを深掘り、その考えがデータに基づいているか、ロジックが成り立っているかも面接で確認しています。その中でも主観と客観のバランス感覚がとても大事なポイントです。自分だけではなく、ターゲットユーザーのペルソナやデータ、ステークホルダーを考慮し、どれだけズームイン・ズームアウトを多面的かつ柔軟に考えられるかは特に意識して見ていますね。

また、仕事では大小様々な課題に直面し、多様な職種の人たちとのコミュニケーションが求められるため、学生時代に取り組んだことや何に挑戦し、どう壁を乗り越えてきたのかを聞いています。

インターンシップに参加する人に感じ取ってもらいたいことはありますか?

参加するまでには想像していなかった視点や、自分が自覚していなかった強みや思考の癖、課題など多くの気づきを得られると思います。私自身もメンターとして参加者のみなさんにプラットフォームビジネスのつくり方を始め、アイデアの詰め方やロジックの組み立て方、多様な人との協業の仕方など、多くの気づきを与えられる立場でありたいと思っています。他の参加者との関わりから得られることもきっと多いはずです。得られるスキルが増えれば良いですし、幅広い意見や新しい視点に触れることだけでも一つの経験です。まずは新しい世界を知り、自分自身で感じ取ってもらいたいですね。

プログラムにも振り返りの時間を組み込み、内省を促すようにしています。最終日の発表後はメンターからのフィードバックはもちろん、参加者同士で「◯◯さんはここが良いと思ったが、この部分が伸びるとさらにパワーアップできる」などのメッセージを書く形でお互いにフィードバックし合えるようにしています。参加者からは提案資料やプレゼンなどのアウトプットだけが欲しいわけではありません。インターンシップの期間を通じてフィードバックをしっかり受け止め、自分を変えていこうという意識を持ってほしいと思っています。実際にガラッと変わる方がいるので、どれだけ変化することに対して柔軟に向き合えるかも大事なポイントだなと。

そして何より、メンターとして参加者に求めていることは背伸びしすぎないことです。無理に自分をよく見せようとせず、客観的なデータや事実に基づいて、心から良いと思っている案を突き詰め、提案してほしい。背伸びをしなくても良いところはちゃんと汲み取れるようにしています。資料のきれいさやプレゼンの上手さも強みになりますが、それ以上に「この事業は何がいいのか。アイデアの根幹は何か」を審査員の方もすごく大事にしており、テクニックだけでは覆せないポイントになるため、アイデアの根幹に忠実になってほしいなと思います。

実際のビジネスシーンでは、最終的に企画した事業に自分以外の誰かが携わっていくもの。きれいにまとめて終わりではなく、とことん実現性を追求してもらいたいですし、そのためにも遠慮しないでほしいんです。インターンシップやビジネスコンテストの経験が豊富なメンバーの意見に流されて、遠慮する必要はありません。しっかり議論を重ね、遠慮せずに意見しながら事業を考えてもらいたいですね。

ビジネスコンテストの経験は、その後のキャリアにどのように活かせると思いますか?

法人ビジネスの根幹が「あらゆる企業の課題解決」だと考えたとき、LINEは非常に多くの選択肢がある環境です。たとえば将来的にほかの会社に行ったとして、ソリューションが少ないなかで事業をつくることになったとき、LINEとの差分を知っていると勉強になると思いますし、逆に打ち手が多くLINEと類似した会社に行く場合も LINEでのビジネスコンテストの経験は大きなアドバンテージになると思っています。ビジネスコンテストの数日間で得られる気づきはもちろん多くありますし、長期的に見た際にも多くの気づきが得られるはずです。

また、前回の開催時には、文系・理系など専攻分野や学年・年齢を問わず、国内・海外から非常に幅広い属性の学生が参加されました。多種多様な考え方や感性に触れられる貴重な機会になるのではと思います。また、終了後にチームメンバーで食事に行ったり、後日情報交換をしたりしている参加者もいて、新たな仲間との出会いの場にもなるかもしれません。

最後にメッセージをお願いします。

とにかく少しでも興味を持ったら、ぜひ応募してみてほしいです。参加する前の選考段階で落ちてしまっても、自分の課題や思考の癖に向き合うきっかけにつながると思いますし、選考を経験してみないと見えないこともあるはずです。もちろん、ご縁があればさらに新しい経験を得られるはず。行動を起こしてみないと何も変わらないので、まずは障壁を取っ払って、応募するところから始めてほしいですね。今の時点で、LINEで働くことに興味がなくても、ビジネスコンテスト単体で興味があるという方も大歓迎です。多くの方のエントリーをお待ちしています。