サービス企画の仕事を選択肢にしてほしい
プロダクトの実課題に挑戦する2日間

村瀬 康太

この記事は、2022年サマーインターンシップ 企画職 2daysコースの募集時に掲載したものを一部修正して再掲載しています。サービス名称や所属は取材当時の内容です。

自己紹介をお願いします。

村瀬康太です。2019年に企画職の新卒として入社し、現在LINE Payでプロダクトマネージャーをしています。LINEに入社したのは、「社会に大きな影響を与えるプロダクトをつくりたい」という思いからです。理系の大学院で学び、元々はハードウェア開発の道を志していましたが、学びの日々を過ごすうちにソフトウェアの成長により大きな可能性を感じるようになりました。いろいろな環境がある中でも多くのユーザーがいてさまざまな事業を展開するLINEなら、自分の目指すことが実現できるのではと考え、志望するようになりました。

入社後はLINE Payの企画チームに配属され、他企業の決済プラットフォームなどと連携する企画に取り組んでいました。3年目からはオンラインでの本人確認機能やマネーロンダリング対策など、金融領域ならではのプロダクトの企画開発に携わっています。

企画職の仕事と、個人的に感じる仕事のおもしろさを教えてください。

サービス企画・プロダクトマネージャーの仕事とは、どのようなプロダクトをつくればユーザーによりよい価値提供ができるのか、その実現可能性を探りつつ企画を立ててプロダクトの方向性を固め、エンジニアやデザイナーを巻き込みながら開発を進め、サービスや機能をつくったり改善したりすることです。ユーザーはどのような価値を求めているのか、ビジネスとして成り立つのか、プラットフォームであるLINEのシナジーを最大限発揮するにはなど、さまざまな観点を突き詰めて、プロダクトをつくり上げていきます。

私が思うサービスをつくる仕事やプロダクトマネジメントという業務領域のおもしろみは、社会課題の解決に挑戦できることです。自分たちの提供したものが本当に社会やユーザーの課題解決につながっているのかの検証も楽しいですね。

LINEならではの魅力を挙げると、単純に聞こえるかもしれませんがユーザーが多いことでしょうか。これは単に、LINEであればどんなサービスでも、簡単にユーザーに使い続けてもらえるわけではありません。ユーザーが多いということは、新しいサービスに反応する母数が多いということです。同じ「利用率1%」でも、10万人の1%と1000万人の1%ではインパクトが違いますし、そこから得られるフィードバックの量や見るべきユーザーの質もまったく違います。実際にサービスに触れたユーザーの行動を分析することで、真にユーザーが求めているものは何なのか、仮説検証を繰り返すためのデータを高速に、大量に、かつユーザーの年代の偏りなく得られるのは、LINEならではかと思います。

また、LINEという会社は全体的に非常に速いサイクルで開発と検証を行っていて、スピーディーにプロダクトを届けることを大切にしています。自分たちの考えた企画がどう受け入れられるのか、どうすればもっと使ってもらえるのか、より良くするための改善点は何か、実際の反応を見ながら素早く検証と企画、そして実行を繰り返せることは、個人的にも仕事に張り合いを感じられる部分ですね。

企画職のインターンシップの概要を教えてください。

LINEの企画職やプロダクトマネジメントの仕事への理解を深めてもらうため、「LINEのサービスが実際に抱えているプロダクトの課題」をテーマとして提示し、その解決のための機能やサービスの企画立案に取り組んでもらいます。3~4人のグループワークが中心となり、2日間で企画立案から提案まで行います。

以前からも企画職の採用のために、説明会などのイベントや就業型のインターンシップは行っていましたが、すでにLINEの企画職に強く興味を持っている人へのアプローチが中心になっていました。

特に就業型のインターンシップは、どうしても時間的な拘束が増えることもあり、志望業種や職種が定まりきっていない人は応募しにくいハードルがありました。そこでもっといろいろな志向や興味がある方や、まだそれらが定まりきっていない方にも企画職のおもしろさを伝えることを目的に、採用担当者や私を含む新卒入社メンバー数名が方針づくりから関わり、企画したのがこのコースです。

プログラムの設計で大切にしたことは、意欲ある学生にとって知的好奇心がかき立てられ、おもしろみや参加する魅力が感じられること。ある程度カジュアルに、経験や知識がなくても参加できること。そして何より、できる限りLINEの企画職の仕事が具体的にイメージできることを目指しました。

企画の立案は、多岐にわたる業務の一部でしかありませんが、「ユーザーに何を届けるか」を企画することは、企画職のコアとなる部分でもあります。LINEとしてこだわりたいのは、この企画立案の課題を単なる「アイデア出し選手権」にはしないということ。もちろん良い企画をつくりたい思いは大切にしていただきたいのですが、アイデアそのものや出来栄えによって評価をつけることはありません。評価のポイントはあくまでも以下のような点です。

・「誰」に「どのような体験」を与えるための企画か明らかであるか。それが「ユーザーから求められている価値であるか」を考え抜かれているか。
・ユーザーの抱える課題と、LINEのプロダクトが抱える問題を、的確に把握しているか。
・上記の両方を踏まえ、「LINEならではの強みを発揮し、ユーザーに価値を最大限届けることが可能で、ビジネスとしても地に足がついている」企画となっているか。

「こんなのがあったらいいよね」というアイデアだけで終わるのではなく、実際のユーザーニーズに応えながら、ビジネスとしても成り立つ企画をつくり上げてもらいたいと考えています。

各グループには企画職の社員がメンターとして入り、チームでのディスカッションや立案のサポートを行います。積極的に議論をリードしたり方向性を決めることはしませんが、困ったときに相談を受けたり、議論が停滞していたら考え方を提供したりする役割です。また、中間プレゼンや最終プレゼンなどで役員からのフィードバックも予定しています。実際に新しいプロダクトをつくるときには、役員に対して説明を行うこともあります。役員はプロダクト全体を俯瞰してみる立場にあり、異なる目線からの意見や、全体を踏まえたユーザーニーズの仮説を持っています。プロダクト広範に責任をもつ立場の人たちがどのようなことを考え、意思決定をしているのかを知ることで、企画職への理解をより深めていただければと思います。

企画立案には「これ」という正解がありません。もしかすると、自分たちのメンターが言うことと、他の社員や役員の意見が異なっているかもしれません。でもそれって、仕事でもよくあることで(笑)。いろいろな立場の意見を聞きながらより良い案を見つけていくことは、実際の仕事でも当たり前に行われていること。だからこそ、さまざまな意見を聞きながら、それを裏付けるデータを探し、ユーザーが求める価値に対する仮説の精度を高めながら、実際のプロダクトへと落とし込んでいく経験をしていただきたいですね。

過去の開催回で印象的だったのは、我々LINEの社員と学生の皆さんの観点の違いです。内部にいるとどうしても今のプロダクトで実現できることはここまでかと、無意識に線を引いてしまいがちなのですが、学生の方からは、そうした線引きのない発想や表現が見られて。同じものをつくるとしても、企画の見せ方や表現が違うのは我々としてもとてもおもしろいなと感じました。

選考フローと、その過程で見るポイントを教えてください。

まずはエントリーシートに加え、提示される課題への企画書を提出いただき、課題提出者全員にSPIテストの受験を案内します。その後、課題選考を通過した方には面接を1回行う予定です。

エントリーシートはいわゆる履歴書のようなもので、学生時代に頑張ってきたことなどを教えていただきます。プロダクトマネジメントの経験は必須ではありません。実際に、LINEで活躍している新卒入社の企画職の社員でも、学生時代に自分でサービスや事業をつくったことがある人もいれば、全くの未経験に近い人もいます。エントリーシートで見ているのは、出した成果よりもそこにいたるプロセスや試行錯誤、失敗してもそれを改善し成果や成長につなげてきているかなどです。

サービスはリリースして終わりではなく、ユーザーの反応を見ながら、継続的にプロダクト改善が続いていきます。また企画の実現は一人で取り組むものではなく、誰かを巻き込んでチームで進めるもの。ですから、チームで協力して何かを成し遂げた協業経験は歓迎しますし、その中でご自身がどんな工夫や努力をして成果へとつなげてきたのか、またそれは企画職の業務に活かせる再現性があるものなのか、ということも考慮しています。

企画課題について、過去のテーマは新サービスの提案でした。単に綺麗な画面イラストが描けるかや資料作成のスキルを見るのではなく、より評価基準として重視しているのは「誰にどんな価値を届けたいサービスか」を明確化できているかどうか。そして、その点に対して全体が考え抜かれているか。具体的には、LINEの現状や客観的なデータなどを用いて、どんなサービスが求められているのかを分析し、自分の感覚や意見を大切にしつつ主観だけに頼らない形で論理的に企画としてつくれているかどうかです。

面接では書類選考で提出いただいた企画についての補足や、コミュニケーション力を見ています。私は特にいわゆる「受け答え」のうまさだけではなく、言語化能力を見ていることが多いですね。先にお話ししたように、企画の仕事は人を巻き込む仕事でもあります。自分の頭の中にあるプロダクトのイメージを、いかに正確に、説得力をもって人に伝えられるかは非常に重要なスキルです。

「なぜ、この企画をやろうと思ったのか」「なぜ、ここを工夫するのが良いと思ったのか」など、企画をするうえではさまざまな立場の人からさまざまな質問を受けることになるので、面接でのやりとりを通してそのコミュニケーション力を見ています。同じチームのメンバーはもちろん、開発やデザインをはじめ、案件によってはマーケティングや法務など多岐に渡るプロフェッショナルに自分の意見を伝え、周りの意見を汲み取り企画を形づくる必要があります。どう自分の考えを伝え相手の考えを汲み取れるか、そのための工夫ができるかはとても大切なスキルだと思います。

参加する人に感じ取ってもらいたいことはありますか?

一番は、LINEの企画職の仕事がどんなものなのかを肌で感じ、キャリアの選択肢の一つとして検討してもらうことです。

企画の根幹にあるのは、ユーザーニーズを正しく把握することです。このニーズというのは、表面的な流行などを指すのではありません。今世の中で流行っているサービスは、なぜ広いユーザーから支持されているのか、同じような別のアプリと比べて、なぜこのサービスが一番使われているのかなど、目の前の事象を深く掘り下げて初めて見えてくるものです。この考え方を、参加期間内で交流する社員との対話や、自身へのフィードバックを通じて、感じ取ってもらえればと思います。

加えて、普段の生活においても、「なぜかはわからないけど、こういうものだ」と思考停止してしまっていることにこそ、発見や成長につながるヒントが隠れています。「なぜこうなっているのか?」「これは本当に正しいのか?」と疑問を持ち、自分なりの仮説・考察を持つ習慣があることは、サービスをつくる仕事にとって大切な資質です。今回のイベントへの参加を通じて、このような考え方を感じ取り、自分でも実践いただくことは、ある事象を自分なりに言語化して、分析する能力にもつながるため、LINEの企画職に限らず、就職活動全般にもプラスに働くと思います。

個人的に企画職に限らず仕事とは正解がないことのほうが多いと感じていて。その中で、いろいろな人の意見と自分の仮説を組み合わせながら一つのアウトプットを出していく経験は貴重なものになると思っています。ですから、ただ単にグループワークに参加して「社会人体験をした」「楽しかった」だけではなく、企画職という仕事のおもしろさや難しさを本気で感じ取ってもらい、さらにLINEで働くことや、実際に働いている人たちの考えや想いに具体的に関心を持ってもらえたらうれしいです。

本インターンシップでは既にLINEやサービス企画の仕事を志望している方だけでなく、いろいろなバックグラウンドや興味を持った方々にお会いできるのを楽しみにしています。考え方や経歴の違う人が集まって、同じテーマについてディスカッションしながら協働することはビジネスの場では当たり前のことです。それぞれの観点から意見を出し合うことで議論も活発になり、よいプロダクトを生むための相乗効果も得られると思います。

今回のインターンシップへの参加は、企画職の新卒採用の本選考に影響しますか?

インターンシップの選考で出される課題は本選考で出されるものと近い内容なので、今回のインターンシップを経験している方にとっては、チェックされる勘所のようなものがわかっている分、取り組みやすいかもしれません。もちろんインターンシップ当日に取り組む課題を経験することで、その解像度はより高くなるはずです。

インターンシップを経験することで、実際の選考に向けて自身の課題を見つけられることもポイントになるかもしれません。LINEの企画職に求められるものを肌で感じていれば、より効率のいい準備が可能になるでしょう。

最後に

ITサービスを企画する仕事やプロダクトマネージャーの役割、LINEで働くことに興味がある人はもちろん、それらに対する知識や経験のない人にもぜひチャレンジしてもらいたいと思っています。プロダクトは、世の中の課題を解決する一つの手段です。「何か社会に対して実現したい思いがある」「世の中がもう少しこうなったら便利だと思う」などの思いがある方にとって、それを実現するの手段や選択肢にLINEに企画職を加えてもらえると嬉しいです。

このインターンシップに参加した結果「LINEや企画の仕事は少し自分のやりたいことと違うかもしれない」と感じたなら他の選択肢を選んでも良いと思うんです。「自分のやりたいことを将来的に実現するために、スタート地点としてLINEの仕事が適しているかもしれない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。いずれにしても、仕事に対する理解を深めることで、キャリアの歩み方を描いていく一助になればと思います。

LINEは規模の大きい会社です。社会に対する影響も大きく、その責任も大きい会社です。このような会社特有の苦労を感じる場面も正直あります。ですが、そんな会社だからこそ実現できるものがあります。大規模からさらなる成長を目指すフェーズのプロダクト開発を学べる環境は、きっとキャリアにプラスになります。新卒採用でサービス企画というポジションの配属が確約された採用選考は他の企業を見ても珍しいと思いますので、そこに魅力を感じる人はトライしていただきたいですね。インターンシップを通して多くのことを学び、LINEという会社にも興味をもっていただけることを期待しています!